軽症型視床出血24例 (男18例, 女6例, 平均年齢63歳) について, 臨床症状, CTスキャン, 体性感覚誘発電位 (SEPと略) の経時的変化を検討した.平均3ヵ月のfollow upでは, 瞳孔異常や共同偏視などの眼症状, 及び, 触覚, 温痛覚, 振動覚, 関節位置覚などの感覚障害は, 著明な改善を示したが, 測定障害や振戦などの失調症, 及び, 自発痛などの異常感覚は, むしろ発症時にはみられず, 後になって出現するものが多い.SEPは, CTスキャン上, 高吸収域が消失してからも改善しつづけ, P15, N20, P23の順に出現する.患側の回復SEPに関して, P15及びN20成分の潜時は, 健側コントロール群のSEP成分に比べて変らないが, P23成分の潜時は延長している (N20/P23解離), このような視床出血でピーク間潜時の選択的延長を認めた報告はこれまでにはない.
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