脳卒中
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多発梗塞性痴呆の体性感覚誘発電位
立花 久大成田 光洋武田 正中西岡 安弘杉田 實
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1986 年 8 巻 5 号 p. 401-406

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抄録

多発梗塞性痴呆 (MID) の体性感覚誘発電位 (SEP) を測定し, MIDの電気生理学的特徴を明らかにする.対象はMID14例 (71.9±6.7歳) で比較のため痴呆を有さない慢性期脳梗塞患者 (CI) 12例 (70.7±9.5歳) および正常者14例 (68.9±7.4歳) も検討した.MID群は正常群に比しN20, P25, N33が有意に遅延しており, またCI群に比してもN33, P40が有意に遅延していた.頂点間潜時差ではMID群は正常群に比しN13-N20, N13-P25, N20-N33が有意に延長しており, CI群に対してもN13-N33が有意に延長していた.N20-N33, N20-P40についても有意ではないが明らかに延長していた.またMID群, CI群ともに正常群に比しN13-N20の左右差が有意に大であった.以上MID群のSEPは皮質下のみでなく, 大脳皮質が発生源とされるN33, P40にも異常が認められた.このような結果はSEP測定が脳卒中患者の痴呆を評価する際や, 皮質性痴呆とされるアルッハイマー型老年痴呆との臨床的鑑別に有用な指標となりうることを示唆している.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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