脳卒中
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MRI (磁気共鳴画像診断法) により病巣を明らかにし得たoculo-palato-skeletal myoclonus の1例
近藤 進村松 慎一山口 晴保森松 光紀平井 俊策
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1986 年 8 巻 5 号 p. 412-416

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抄録

橋出血から1年後, oculo-palato-skeletalmyoclonusを呈し, MRIによって初めて橋被蓋の病巣を明らかにし得た1例を報告する.
症例は61歳, 男性.意識消失と右片麻痺の発作があり, X線CTにて橋背部の小出血と診断されたが, 数ヵ月後には右片麻痺はほぼ消失した, この発作から1年後, 右上下肢の不随意運動が出現し徐々に増悪, 歩行不能となり入院した.初診時, 両眼・軟口蓋・右上肢に同期性の約2Hzのミオクローヌス (oculo-palato-skeletal myoclonus) を認めた.この他, 右顔面知覚低下, 右半身の錐体路徴候・知覚低下・協調運動障害, 体幹運動失調をも伴なっていた.X線CTでは病巣は描出されなかったが, MRIにて橋被蓋に低信号域を認めた.この病巣は左に優位で, 中心被蓋路を含むと推測された.本例は, 従来剖検によらねぽ同定し得なかった口蓋ミオクローヌスの責任病巣を, MRIにより生前に明瞭に描出し得た貴重な症例である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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