ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
ISSN-L : 0042-6857
平成28年杉浦賞論文
インフルエンザウイルスゲノムの細胞内動態を制御する宿主因子の研究
川口 敦史
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 67 巻 1 号 p. 59-68

詳細
抄録
 インフルエンザウイルスゲノムはribonucleoprotein(RNP)複合体を形成し,その細胞内動態の制御には,ウイルスタンパク質だけでなく,宿主由来の因子(宿主因子)が必須である.我々は,試験管内再構成系を用いた生化学的な手法とプロテオミクス解析により,ウイルスRNP複合体の複製とその細胞内輸送を制御する宿主因子の同定を進めてきた.DNA複製のライセンシング因子であるMCM複合体によってウイルスゲノム複製は活性化され,複製されたウイルスゲノムはスプライシング因子であるUAP56がNPシャペロンとして機能することで子孫RNP複合体を形成する.複製されたウイルスRNP複合体は,宿主のRNA結合タンパク質であるYB-1と結合し,共に中心体へと集積する.YB-1による細胞周期非依存的な中心体の成熟化によって小胞輸送経路が活性化され,ウイルスRNP複合体はコレステロールが豊富なリサイクリングエンドソームを介して細胞膜まで輸送される.エンドソーム膜内のコレステロールは,細胞膜上で脂質ラフトのクラスタリングを誘導するのに関与し,ウイルスRNP複合体の細胞膜への輸送と協調したウイルス粒子形成場のトリガーとして機能すると推測される.
著者関連情報
© 2017 日本ウイルス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top