ウイルス
Online ISSN : 1884-3433
Print ISSN : 0042-6857
ISSN-L : 0042-6857
平成29年杉浦賞論文
RNAウイルスの増殖過程に寄与する宿主蛋白質の機能解析
山吉 誠也
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2018 年 68 巻 1 号 p. 71-78

詳細
抄録
 RNAウイルスのゲノムには限られた数のウイルス蛋白質のみがコードされているため,RNAウイルスは増殖過程の多くを宿主細胞の機能に依存している.RNAウイルスの増殖に寄与する宿主蛋白質を解明することは,基礎的なウイルス学研究のみならず,抗ウイルス薬の開発などの応用的研究にも貢献し得る.  筆者らは,マイナス鎖RNAウイルスであるエボラウイルスの膜蛋白質VP40の細胞質内輸送に宿主のCOPII輸送が関与すること,プラス鎖RNAウイルスのエンテロウイルスA71の感染受容体がSCARB2であること,分節型RNAウイルスであるインフルエンザウイルスのゲノムRNAの核内での輸送に宿主蛋白質CLUHが寄与することを明らかにした.本稿では,それらの知見について紹介したい.
著者関連情報
© 2018 日本ウイルス学会
前の記事 次の記事
feedback
Top