抄録
ウシの奇形心696例中の4例に二重左房室口,3例に二重右房室口が認められた。二重左房室口の4例のうち,症例1~3は左房室弁の中隔尖と壁側尖が幅広い弁組織で結合され,ほぼ等しい大きさの二つの口が形成されていた。症例4では壁側尖の後部に弁下装置を備えた小口が存在していた。これら4例の左房室弁は薄く,平滑であった。二重右房室口の3例のうち,症例5と7では右房室弁の中隔尖と壁側尖の中央部が幅広い弁組織で結合され,ほぼ等しい大きさの口が二つ形成されていた。症例6では中隔尖と角尖の中央部が幅広い弁組織で結合されていた。症例5と7の右房室弁の自由縁は肥厚していた。症例7では右房室弁の前交連の離開とそれに近接した中隔尖の心房面に噴流障害が認められた。