動物の循環器
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39 巻, 1 号
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原著
  • 村上 隆之
    2006 年 39 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/01
    ジャーナル フリー
    ウシの奇形心696例中の4例に二重左房室口,3例に二重右房室口が認められた。二重左房室口の4例のうち,症例1~3は左房室弁の中隔尖と壁側尖が幅広い弁組織で結合され,ほぼ等しい大きさの二つの口が形成されていた。症例4では壁側尖の後部に弁下装置を備えた小口が存在していた。これら4例の左房室弁は薄く,平滑であった。二重右房室口の3例のうち,症例5と7では右房室弁の中隔尖と壁側尖の中央部が幅広い弁組織で結合され,ほぼ等しい大きさの口が二つ形成されていた。症例6では中隔尖と角尖の中央部が幅広い弁組織で結合されていた。症例5と7の右房室弁の自由縁は肥厚していた。症例7では右房室弁の前交連の離開とそれに近接した中隔尖の心房面に噴流障害が認められた。
  • 大井川 一登, 勝田 新一郎, 日柳 政彦, 町田 登
    2006 年 39 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/01
    ジャーナル フリー
    粥状動脈硬化症の早発とそれに伴う心筋梗塞の発生を特徴とするヒトの遺伝性疾患,すなわち家族性高コレステロール血症の動物モデルとして,WHHL (Watanabe heritable hyperlipidemic)ウサギとKHC (Kurosawa and Kusanagi-hypercholesterolemic)ウサギが系統化されている。WHHLウサギの冠状動脈にみられる粥状硬化病変に関しては詳細な情報が得られているが,KHCウサギについては体系的な形態学的検索はなされていない。そこで,KHCウサギの冠状動脈病変を質的・量的に評価する目的で,4~36カ月齢のKHCウサギ83羽の心臓を病理組織学的に検索した(4~6カ月齢群15例,10~12カ月齢群35例,16~18カ月齢群11例,22~24カ月齢群13例,34~36カ月齢群9例)。その結果,壁外冠状動脈では,4~6カ月齢の段階ですでに泡沫細胞の蓄積を伴う内膜肥厚がみられ,月齢を経るに従って細胞外脂質沈着や内弾性板の崩壊を伴ったより重篤な内膜肥厚を示すようになった。このような粥状硬化病変の発生率は,4~6カ月齢:20%,10~12カ月齢:26%,16~18カ月齢:64%,22~24カ月齢:62%,34~36カ月齢:89%であり,月齢とともに増加した。壁内冠状動脈の粥状硬化病変は質的に壁外冠状動脈のそれと一致していたが,発生月齢ははるかに遅く,また発生率は低い傾向にあった(4~6カ月齢:0%,10~12カ月齢:3%,16~18カ月齢:36%,22~24カ月齢:23%,34~36カ月齢:56%)。本検索結果をWHHLウサギの報告と比較すると,壁外および壁内冠状動脈の病変に質的な差は認められないものの,病変発生率に違いのある可能性(WHHLウサギ>KHCウサギ)が示唆された。
  • 金重 辰雄, 中尾 周, 小山 秀一, 広瀬 昶, 町田 登
    2006 年 39 巻 1 号 p. 18-25
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/11/01
    ジャーナル フリー
    僧帽弁閉鎖不全症罹患犬における脚ブロックの発生にかかる形態学的基盤を明らかにする目的で,生前に左脚ブロック(症例1および2)あるいは右脚ブロック(症例3)を示した10~15歳の僧帽弁閉鎖不全症罹患犬3例の心臓について,連続切片作製法により房室伝導系を中心に組織学的検索を実施した。全例の僧帽弁および三尖弁に粘液腫様変性ならびに線維組織あるいは線維脂肪組織増生が中等度~重度に観察された。同病変は弁膜にとどまらず求心性に進展して中心線維体基部から心室中隔膜性部にまで波及し,中心線維体の部分的な融解・変形をもたらしていたが,その下部を走行するヒス束貫通部には軽微な傷害が認められたのみであった。一方,心室中隔上部の左右両側に位置する心内膜には,全例において軽度~重度の変性性および硬化性変化が生じており,同部位を走行するヒス束分岐部~左脚および/あるいは右脚の上部を傷害していた。その結果,特殊心筋線維は種々の程度に変性・萎縮ならびに脱落・消失し,線維組織あるいは線維脂肪組織によって置換されていた。刺激伝導系病変(軽度~重度:+~+++)がみられた部位は,症例1ではヒス束分岐部の末端(+),左脚の上部(++);症例2ではヒス束貫通部の末端(+),ヒス束分岐部のほぼ全長(+),左脚の上部(+++);症例3ではヒス束分岐部の末端(+),左脚の上部(+),右脚の上部(+++)であった。このように,脚ブロックを示した3例ではいずれも病変は脚に主座しており,心電図学的異常の発生機序が形態学的側面から裏づけられた。
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