1996 年 29 巻 2 号 p. 91-98
ロードアイランドレッド種鶏(RIR)における不整脈の好発生性と壁内冠状動脈の硬化性変化(内膜肥厚)との関連性を明らかにする目的で,RIR60羽および白色レグホン種(WL)60羽を用いて,不整脈と心室壁内冠状動脈における硬化性変化の発生時期に注目しつつ,孵化直後から12ヵ月間にわたって経時的な心電図検査および心室の病理学的検索を実施した。
不整脈は7ヵ月齢~12ヵ月齢のRIR10羽に観察された(心房性期外収縮3羽,心室性期外収縮3羽および心室早期興奮症侯群4羽)。しかしながら,WLでの発生は認められなかった。また,壁内冠状動脈病変の発生率および程度はRIRにおいて月齢とともに増大する傾向を示した。重度内膜肥厚病変の累積発生率について両品種間で比較すると,RIRはWLよりも有意に高かった(p<0.001)。さらに,RIRにおいて不整脈例での重度内膜肥厚病変の発生率は,非不整脈例に比べて有意に高かった(p<0.01)。これらの検索結果から,RIRにおける不整脈の好発生性.には壁内冠状動脈の硬化性変化が密接に関わっていることが示唆された。