抄録
稼働年齢 (18~65才) にある人工肛門造設者281名について, 職業リハビリテーションの観点から分析を加えた結果以下の点が明らかになった。
1.術前有職者216名 (76.9%) のうち, 術後復職した者は147名であり, 復職率は約68%であった。
2.復職者のうち原職復帰は47%, 転職8%, 休職3%, 求職3%, 退職38%であった。
3.術後復職した者の年齢は20~30代では全員が, また40~50代で有意に多く, 60代以上に少なかった。
4.復職した職種では, 会社員や自営業者が多く, 公務員は低かった。
5.生活障害のうち, 退職者に比べ, 復職者が有意に多くあげていたのは, 性生活, 性機能障害および排尿障害であった。
その他, 会議中のガス音や臭いが気になる, 人工肛門 (以下「ストーマ」という) が圧迫されるためラッシュ時には乗れない, 排泄処理の場所がないため社員旅行に行けない等, 彼らが多くの職業生活上の問題を有していることが分かった。