日本血管外科学会雑誌
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症例
腎動脈下腹部大動脈閉塞を呈したStanford B型大動脈解離
松山 重文濱田 正勝土井 一義川内 義人
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2006 年 15 巻 6 号 p. 559-563

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抄録

腎動脈下腹部大動脈閉塞を呈したStanford B型大動脈解離の2症例を経験したので報告する. 症例1は69歳, 女性. 突然の背部痛が出現し救急車にて来院. CTにて偽腔開存型のB型大動脈解離を認め, 降圧療法にて保存的に加療していたが, 経過中に下肢の疼痛が出現した. CT上で腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認め, 右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術を施行し軽快退院となった. 症例2は82歳, 男性. 突然の腰背部痛, 両下肢のしびれが出現し救急車にて来院. CTにてB型大動脈解離, 腎動脈下腹部大動脈の閉塞を認めた. 緊急右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術を施行したが, MNMS (myonephropathic metabolic syndrome) を発症し術後3日目に失った. Stanford B型大動脈解離による腎動脈下腹部大動脈閉塞に対し腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス術は有用な治療法の一つであるが, 急性発症の例では可及的早期の血流回復, MNMSに対する留意が必要である.

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