質的心理学研究
Online ISSN : 2435-7065
神経筋難病患者の Individual QOL の変容
項目自己生成型 QOL 評価法である SEIQOL-DW を用いて
福田 茉莉サトウ タツヤ
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2012 年 11 巻 1 号 p. 81-95

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抄録
1980 年以降,医療保健領域では QOL の重要性が高まっている。この分野で最も多く用いられている QOL 概念は健康関連 QOL である。しかし健康関連 QOL は機能面を重視したものが多く,患者の主観的 QOL に一致しないことが指摘されている。特に QOL 概念を難治性や進行性の疾患に用いる場合には,QOL 向上が患者に提供する医療ケアの目標となるためこの問題は深刻化する。よって,本研究では患者を主体とした QOL 評価法として開発された SEIQOL-DW を用いて継続的な QOL 調査を実施した。対象者はデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者の A氏である。継続的な調査を実施した結果,A 氏の QOL は変容することが明らかになった。また QOL の変容には,A 氏の病状の進行だけでなく環境の変化が影響していた。SEIQOL-DW を通して患者の個別性に注目する試みは,患者の生活空間や環境,病い経験へのより深い理解を促し,より適切で具体的な医療・看護のケア介入を可能にする。
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© 2012 日本質的心理学会
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