日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
右冠動脈解離を合併したStanford A型急性大動脈解離の 1 救命例
大仲 玄明中山 正吾野中 道仁稲嶋 麻衣子
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2007 年 16 巻 3 号 p. 583-587

詳細
抄録
症例は62歳,男性.高血圧の既往があった.突然の胸痛,胸部圧迫感で発症し,造影CT検査にて急性A型大動脈解離と診断された.カテコラミン点滴下に当院へ救急搬送された.血圧低下および II,III,aVF誘導でST上昇をきたし,完全房室ブロックを併発して,ショック状態であった.症状経過から右冠動脈病変を合併した急性A型大動脈解離と診断し,緊急手術の準備とともに,ショック状態ならびに進行する心筋障害に対して,まず冠血行再建を行う方針とした.冠動脈造影検査では#1~2 に99%狭窄を認め,ステントを留置した.これにより胸部症状は改善,血圧上昇を得た.続いて上行弓部大動脈全置換術と大伏在静脈にて冠動脈バイパス術 1 枝を行った.術後右脳梗塞を認めたが,48日目に独歩退院された.冠動脈病変を合併した急性A型大動脈解離症例では,進行する冠虚血に対してまず経皮的冠血行再建を行い,冠血流を確保することも一救命手段であることを報告する.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top