日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
超高齢者(98歳)胸部大動脈瘤に対する血管内ステントグラフト内挿術の 1 治験例
大澤 久慶前田 俊之川原田 修義森下 清文樋上 哲哉栗本 義彦
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2007 年 16 巻 4 号 p. 633-636

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抄録

症例は98歳, 女性. 他院にて 2 枝病変に対して冠動脈形成術を施行した際に, 胸部下行大動脈に最大径78mmの動脈瘤を指摘され当院紹介となった. 高齢ではあるが認知症も認めず, 解剖学的にも血管内ステントグラフト内挿術可能と判断, 患者・家族の強い希望もあり十分なinformed consentのもと手術を施行した. 手術は全身麻酔下に右大腿動脈, 左腋窩動脈を露出しtug of wire法にてATPによる心停止下にステントグラフトを挿入した. 術中・術後経過に問題なく, 術後造影CT検査でもエンドリークを認めず, 術後10病日転院となった. 胸部大動脈瘤に対する従来の外科手術は, 高齢者にとって過大な手術侵襲であり, これまで非適応とされていた症例も少なからず存在していたと思われるが, ステントグラフト内挿術はその低侵襲性から有用性も高く, 高齢者の治療の選択肢が増えることは意義があると思われた

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