抄録
症例は59歳,男性.41歳時に,冠動脈 2 枝病変に対し冠動脈バイパス手術(LITA-LAD,Ao-SVG-4PD)が施行されている.49歳時に施行された心臓カテーテル検査にてLITA-LADは閉塞と診断されていた.今回,左上肢の冷感と疼痛を訴えたため精査したところ左鎖骨下動脈の狭窄を認めた.左鎖骨下動脈の血管拡張術を施行したところ,LITAからLADが良好に造影されるようになった.本症例はいわゆる冠動脈鎖骨下動脈盗血症候群と考えられるが,鎖骨下動脈盗血症候群と同様に手術治療以外の新たな治療戦略として血管内治療が有用であることが示唆された.