抄録
症例は73歳の女性.左手指蒼白を主訴に近医受診後 2 カ月の経過で左上肢冷感,脱力へと症状が進行し,日常生活に支障を来すようになったため当科紹介となった.両上肢動脈拍動を触知せず,血管造影にて両側腋窩動脈閉塞を認めたため,2000年 1 月左尺側皮静脈を用いて左鎖骨下–上腕動脈バイパス術を行った.術後左上肢の症状が改善したことから,右上肢の脱力症状が顕著となり,同年 3 月同様に右上肢のバイパス術を行った.術前後での上肢/下肢血圧比は右0.33→0.83,左0.41→1.01で,術後は日常生活に支障を来すことがなくなり,QOLが向上した.病因は非特異的血管炎と考えられたが,長期開存が得られた.