2009 年 18 巻 4 号 p. 513-516
【背景】上腸間膜動脈限局性解離の治療方針はいまだ確立されていない.【症例】48歳の男性で,突然の腹痛で発症し,造影CTで上腸間膜動脈の解離と血栓化した偽腔による局所的な真腔の狭小化を認めた.偽腔から起始する明らかな分枝は認めなかった.腸管壊死を疑わせる所見はなかったが,腹痛が持続するため血管内治療を行った.パルマッ ツTMステント 2 個を上腸間膜動脈に留置した.【結果】上腸間膜動脈末梢の血流は改善し,腹痛は術中から速やかに消失した.1 年後に造影CTでステント部の開存と偽腔の消失を確認した.【結論】上腸間膜動脈限局性解離に対してはステント留置が低侵襲で有効である.