日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
外傷性大動脈解離(Stanford B)の 1 例 ─病理学的考察を含めて─
三保 貴裕古川 浩二郎大坪 諭岡崎 幸生伊藤 翼
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キーワード: 外傷性大動脈解離
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 18 巻 5 号 p. 559-562

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抄録

鈍的外傷による胸部大動脈損傷は,受傷直後より30分以内に大半が死亡する重篤な疾患である.好発部位としては通常は内膜,中膜の断裂により大動脈峡部に限局する仮性瘤の形成を引き起こすことが多い.しかし,今回,画像上も病理学的所見上も通常のB型解離と同様の形態を呈した稀な症例を経験したので報告する.症例は72歳女性で1999年交通事故にて外傷性急性大動脈解離(Stanford B)を発症した.大動脈最大径は35mm程度で多発外傷もあり,降圧加療を行ったが大動脈径の拡大,破裂の兆候等なく,その後外来にて経過観察となった.2005年 2 月,背部痛出現し,CTにて大動脈径は55mmに増大を認め,手術の方針となった.部分体外循環下に下行大動脈人工血管置換術を施行した.術後は対麻痺など認めず良好に経過した.病理組織では,通常の解離と同様の中膜の外側 2 / 3 の部位で解離を認めた.

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