2009 年 18 巻 5 号 p. 563-566
【背景】胃十二指腸動脈瘤は内臓動脈瘤の中でもかなり稀であるが,いったん破裂に至ると,致命的になることが多い.今回は未破裂胃十二指腸動脈瘤の 1 症例を経験した.【症例】76歳,男性.既往は高血圧のみであった.近医の超音波検査で偶然に発見された右上腹部拍動性腫瘤の精査目的に当科紹介となった.CT検査および血管造影検査で,最大径 5cmの胃十二指腸動脈瘤と診断したが,瘤のproximal neckが短く,血管内治療は断念し,手術的治療の方針とした.【結果】全身麻酔下に開腹し,総肝動脈,左右肝動脈,胃十二指腸動脈(末梢側)をテーピング,遮断可能とした.瘤壁を切開し,1 カ所の胃十二指腸動脈の開口部を瘤の内腔から縫合閉鎖した.肝への血流は総肝動脈と固有肝動脈の端端吻合にて施行した.術後肝への血流は問題なく維持されていた.【結論】稀な未破裂の胃十二指腸動脈瘤に対して手術的治療を行い,経過良好であったので報告する.