日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
Salmonella感染性Stanford B型急性大動脈解離の1例
長 知樹鈴木 伸一南 智行益田 宗孝
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ジャーナル オープンアクセス

2009 年 18 巻 6 号 p. 631-634

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抄録

症例は75歳男性.6 年前にリウマチ性多発筋痛症と診断され,ステロイドが開始された.1 カ月後に突然の胸背部痛で来院しStanford B型急性大動脈解離と診断し,厳重な降圧治療を開始した.発熱,炎症反応の高度上昇,CT所見から感染性大動脈解離を疑い抗菌薬治療を同時に開始した.血液培養からSalmonellaが検出された.5 週間後,突然の腰背部痛が出現し,CTで再解離,右下肢虚血を認めたため,緊急右腋窩動脈-右大腿動脈バイパス術を行った.その後も抗菌薬治療を継続し独歩退院となった.感染性大動脈解離は比較的稀であるが,急激な経過をたどることがある.感染性B型解離に対しては,降圧保存治療と抗菌薬投与による感染の沈静化が重要である.しかし治療の急性期に大動脈の急速な拡大や再解離発生の危険は高く,厳重に経過観察し,合併症発生時には迅速に外科治療を施行する必要がある.

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