抄録
今回われわれは,血液透析患者のブラッドアクセス作成困難症例に対し,前胸部に人工血管を移植するarterio-arterial prosthetic loop(AAPL)を 4 例経験したので報告 する.【症例 1】80歳女性.左上腕表在化動脈が閉塞.僧帽弁閉鎖不全症(MR-IV度). 【症例 2】50歳男性.糖尿病性腎症により透析歴12年.表在静脈なく,右内シャント側の手背に虚血性潰瘍あり.【症例 3】72歳女性.透析歴 7 年.計16回の再作成やPTAを施行後.中心静脈が狭小化し,ダブルルーメンカテーテル挿入困難例.【症例 4】77歳女性.糖尿病性腎症により透析歴 5 年.ダブルルーメンカテーテル挿入困難例.全例局所麻酔下,ポリウレタン製人工血管を用いAAPLを作成した.AAPLはブラッドアクセス作成困難症例に対し,有用な手技の一つと考えられた.