日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
大腿部人工血管感染に対するさらなるオプション─腸骨貫通経路─
平岡 有努石田 敦久近沢 元太吉鷹 秀範杭ノ瀬 昌彦片山 桂次郎
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2010 年 19 巻 3 号 p. 523-527

詳細
抄録
閉塞性動脈硬化症の外科的治療において,人工血管感染は最も重大な合併症の一つであり,感染コントロール・血行再建に困難を極める例は稀ではない.今回われわれは,冠動脈バイパス術後で両側の大伏在静脈を使用できない透析患者の大腿部人工血管感染に対し,腸骨貫通経由での再バイパスを行い,血行再建・創部閉鎖をし得た1例を経験した.症例は79歳,男性.左第4・5趾の潰瘍を認め,2008年5月左大腿-膝上部膝窩動脈人工血管バイパス+人工血管-後脛骨動脈自家静脈バイパス術施行.2008年12月,左大腿部人工血管感染を認め,大腿部人工血管抜去,腸骨に孔をあけ,人工血管を貫通させた経路で左外腸骨膝上グラフトバイパス術施行した.一期的に開放状態のまま持続陰圧吸引法(VAC)導入後,縫工筋皮弁を用いて創部の閉鎖を認めた.血行再建経路の選択において,腸骨貫通経路は有用な経路と考えられる.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top