2010 年 19 巻 4 号 p. 573-577
症候性膝窩動脈瘤を6例7肢経験し,全例で救肢に成功し得たので報告する.6例中2例は破裂で発症し,2例は急性閉塞,残る2例は間歇性跛行と末梢塞栓症状にて発症した.破裂症例と急性閉塞症例は緊急手術となり,他の2例は予定手術を行った.到達法は動脈瘤の位置を術前評価することにより決定し,3例は内側,3例は後方アプローチにて行った.術式は仮性動脈瘤の破裂症例のみ修復にて対処したが,他の5例は全例で人工血管置換術を行った.血栓が瘤を越えて末梢まで広がっていた場合は,血栓除去も同時施行した.両側性の1例は両側同時手術を行った.全例で術後経過は良好であった.膝窩動脈瘤は症候性に発見されることが多く,迅速な診断と治療を行わないと大切断に至ることもある.適切な治療方針の決定が必要である.