日本血管外科学会雑誌
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症例
非解剖学的バイパスをおこなった腹部大動脈瘤血栓閉塞症の1手術例
木内 竜太池田 真浩
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2010 年 19 巻 5 号 p. 651-655

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抄録

腹部大動脈瘤の自然血栓性閉塞は比較的稀である.今回われわれが経験した1例を述べる.症例は73歳の男性で右下肢の痺れ・疼痛を主訴に来院した.MDCTでは血栓で完全閉塞した最大径4.8 cmの腎動脈下腹部大動脈瘤を認めた.閉塞は腎動脈分岐部の直下から外腸骨動脈まで続き,両側とも総大腿動脈で再造影されていた.右側は浅大腿動脈も閉塞していた.上腸間膜動脈が腎動脈とほぼ同じ高さより分岐するため,解剖学的血行再建はそれより中枢での遮断,臓器保護を必要とするため侵襲が大きく,また低呼吸機能もあり開腹手術はリスクが高いと判断し,左腋窩動脈-両側総大腿動脈バイパス術および右大腿動脈-膝上膝窩動脈バイパス術を施行した.術後,症状は改善し独歩退院した.現在術後2年経過し瘤径,血栓ともに変化はないが,今後も瘤破裂,血栓の上行進展による腎動脈閉塞などが発症する可能性があり,厳重な経過観察が必要と考えられた.

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