日本血管外科学会雑誌
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症例
常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎に合併した大動脈解離の兄弟発症例
前田 孝一阪越 信雄松浦 良平島崎 靖久
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 19 巻 7 号 p. 763-766

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抄録
常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease; ADPKD)の兄弟に発症した大動脈解離を経験した.症例1(兄):48歳時に透析導入.このとき多発性嚢胞腎を指摘された.50歳時に急性大動脈解離(Stanford A)を発症し,上行大動脈人工血管置換術を施行された.症例2(弟):58歳時に急性大動脈解離(Stanford A)を発症し上行および部分弓部大動脈人工血管置換術を施行,このときに多発性嚢胞腎を指摘した.ADPKD患者に大動脈解離を発症した報告例は散見されるが,筆者らが調べ得た限り兄弟発症例はなかった.これまでADPKDについては大動脈解離を含めたさまざまな心血管系の合併症が報告されているが,とくに大動脈解離との関連については遺伝子異常により生じた血管機能異常で起こる高血圧に加えて細胞外マトリックスの異常による血管壁の脆弱性のために発症するとの報告がみられる.ADPKDをもつ症例においては,厳密な血圧管理が必要と考えられた.
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