日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
破裂を伴った急性B型大動脈解離に対して頸動脈再建およびステントグラフト内挿術を行い救命し得た1例
矢田 真希湯浅 右人徳井 俊也庄村 赤裸加藤 憲幸
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2011 年 20 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
本邦で急速に普及しつつある胸部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術は,本来の適応外とはいえ,胸部大動脈破裂症例でも有効とする報告がみられる.症例は80歳男性で,突然の胸痛のため救急外来に搬送された.CTで破裂を伴ったB型大動脈解離と診断された.大動脈破裂を伴い,高齢であったため,血管内治療を選択した.DSAでエントリーが左鎖骨下動脈起始部近傍にあることを確認したため,適切な近位のlanding zoneを確保する目的で右鎖骨下動脈と左総頸動脈の間にバイパスを作製した.その後近位端が腕頭動脈と左総頸動脈の間に位置するようにステントグラフトを留置し,さらに左鎖骨下動脈起始部を金属コイルで塞栓した.救命は成功し,現在外来で経過観察中である.エントリーが弓部近傍にある,破裂を伴った急性大動脈解離においても,弓部分枝再建を併用したステントグラフト内挿術は一つの選択肢となるかもしれない.
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