日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
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症例
Vacuum-assisted closure(V.A.C.)療法を用い人工血管を温存し得たPTFE人工血管感染の1例
石井 修季白 雅文酒井 浩
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 4 号 p. 729-732

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抄録
人工血管の感染は難治となり,人工血管の摘出を必要とすることが多い.今回われわれはPTFE人工血管バイパス術後の創感染に対し,人工血管を温存した1例を経験したので報告する.症例は糖尿病治療中の70歳女性.右大腿-膝窩動脈バイパスの術後に膝窩創の感染により排膿した.人工血管は創内に完全に露出していた.創の洗浄の後にvacuum-assisted closure(V.A.C.)療法で肉芽形成を図った.V.A.C.療法開始18日目に局麻下に人工血管を肉芽組織に埋め閉創した.その際0.01%クリスタルバイオレット液で人工血管表面を充分に洗浄した.今回,洗浄とV.A.C.療法により健康な肉芽形成を促し,感染の再燃なく閉創することができた.また人工血管を温存することにより下肢の虚血が回避できた.V.A.C.療法は,人工血管バイパス後の人工血管感染やリンパ漏においても感染のコントロールと良好な肉芽形成に有効と考えられた.
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