日本血管外科学会雑誌
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症例
下大静脈に穿破した腹部大動脈瘤破裂の1例
佐藤 久吉戒 勝池田 和幸陣内 宏紀
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 4 号 p. 725-728

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抄録
腹部大動脈瘤(AAA)が破裂し,下大静脈(IVC)へ穿破して動静脈瘻を形成した症例を経験した.症例は71歳,男性.突然の腹痛にて近医で腹部大動脈瘤破裂と診断され,当院へ搬送された.臍の右側で連続性血管雑音を聴取した.CTにて最大径57 mmのAAAを認め,動脈相でIVCが造影されており,AAA破裂,IVC穿破と診断し緊急手術を行った.右大腿静脈からIVCへocclusion balloon(Fogarty occlusion catheter, 8 Fr, balloon 22 Fr)を挿入し,大動脈瘤を切開した.Occlusion balloonを瘻孔部で拡張させ,IVCからの出血を制御した.IVCへの瘻孔は46×16 mmで,polytetrafluoroethylene(PTFE)パッチにて閉鎖し,腹部大動脈をY字型人工血管にて置換した.AAAとIVCの瘻孔部でocclusion balloonを拡張させることで,IVCからの出血を比較的容易に制御することができた.
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