2011 年 20 巻 5 号 p. 807-811
症例は65歳,男性.呼吸苦を主訴に気道狭窄を伴う右総頸動脈瘤切迫破裂と診断され,当院へ救急搬送された.緊急手術としてF-Fバイパス補助下,胸骨正中切開を行い,瘤口である右総頸動脈起始部を直接縫合閉鎖した.術後細菌性肺炎を併発するも改善し,21 PODにリハビリ目的で前医へ転院した.転院後43日目に突然意識消失となり,右総頸動脈の再発が疑われ当院へ再搬送された.意識は回復するも仮性瘤増大による気道狭窄は進行し,再入院後7日目に気管内挿管を行った.以前からのアスベストによる肺癌進行とその多発性脳転移なども考慮した結果,血管内治療を選択した.右腋窩動脈アプローチで,2個の自作ステントグラフトを留置することで瘤口を閉鎖し得た.8 PODのCTでは瘤は閉鎖縮小されていた.左中大脳動脈領域に新たな脳梗塞を併発していたため意識障害は遷延し,29 PODに気管切開を施行して人工呼吸器より離脱し,42 PODに前医へ転院となった.