日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例報告
後方アプローチで緊急手術を行った膝窩動脈瘤急性閉塞の1例
久岡 崇宏山本 修司
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ジャーナル オープンアクセス

2011 年 20 巻 5 号 p. 813-817

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抄録
症例は60歳男性.突発的な右下腿疼痛で発症.来院時知覚鈍麻,チアノーゼ,両側膝窩部に拍動性腫瘤を認めた.単純CTで両側膝窩動脈瘤を認め,下肢造影MRAで右下腿3分枝はほとんど描出されない状態.右膝窩動脈瘤急性閉塞の診断で緊急手術となった.手術は腹臥位,後方アプローチから瘤切除,血栓除去+人工血管置換術を施行し,独歩退院に至った.膝窩動脈瘤の手術術式は内側アプローチによるバイパス術か後方アプローチによる人工血管置換術かに大別される.しかし急性閉塞の緊急手術治療適応症例において,下腿動脈3分岐以下のrun-off不良な場合,術式選択に苦慮する.今回術式決定の判断材料として下肢造影MRAの下腿動脈血流の確認と単純CTによる動脈瘤形態も評価した.動脈瘤が膝窩部に限局していたため,後方アプローチから動脈瘤を開放し,末梢側動脈血栓除去を可及的迅速に行うことができ,結果的に良好な末梢血流が得られた.
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