日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
偽腔閉塞型Stanford A型急性大動脈解離の治療戦略
牧野 裕佐藤 公治杉木 孝司村上 達哉
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 1 号 p. 11-13

詳細
抄録
【目的】偽腔閉塞型Stanford A型解離の治療方針は手術すべきか,保存療法か,未だ統一されていない.今回われわれは,当院で経験した偽腔閉塞型Stanford A型解離の経過から治療方針を検討した.【対象・方法】2002年2月から2010年10月までに加療したStanford A型偽腔閉塞型急性大動脈解離20例を対象とした.発症時および経過中手術適応となった群と,遠隔期まで手術適応とならなかった群を比較検討した.【結果】発症時上行大動脈径は手術適応(-)群42.5±5.6(35–48)mm,手術適応(+)群49.3±4.8(40–60)mmで手術適応(+)群が有意に大きかった.エントリーやulcer-like projection(ULP)が上行弓部大動脈に存在するものは手術適応(+)群で有意に多かった.一方,偽腔の厚さは両郡間に有意差は認められなかった.【考察】再解離した症例の手術成績は不良のため,ハイリスク症例は積極的に手術する必要がある.とくに,上行大動脈径50 mm以上,エントリーが上行弓部に存在するものは準緊急的に手術する必要がある.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top