抄録
頭蓋外頸動脈瘤は非常にまれな疾患ではあるが,塞栓症や破裂など重篤な合併症がおこりうる.その治療に関しては外科手術や血管内治療でさまざまな方法が報告されている.しかし,瘤が大きく,また頭蓋底に達するような症例では治療に難渋することがある.症例は50歳,女性.右頸部に拍動性腫瘤を自覚していた.瘤は内頸動脈起始部から始まり最大で径3.1 cmの紡錘状で細い交通を介して3個連なっていた.瘤の末梢側は頭蓋底に達し,外科手術では末梢側の血管確保が困難と判断した.頸動脈遮断試験にて対側からの十分な側副血行があり,遮断中神経症状を認めなかったこと,および瘤内血栓も認めなかったことから,血管内操作も可能と判断し,末梢側のコイル塞栓術と,中枢側の結紮術および可及的な瘤切除術を施行し良好な結果を得た.頭蓋外頸動脈瘤の治療の基本は切除術と再建術ではあるが,切除困難な症例もあり,瘤の大きさ,部位,形状によって治療法を選択していく必要がある.