日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
慢性腎不全を合併した膝下病変を伴う閉塞性動脈硬化症に対して炭酸ガス造影を用いた血管内治療が有用であった1例
中島 正彌小林 英昭小林 昌義
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 21 巻 1 号 p. 25-28

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抄録
症例は75歳,男性.2010年6月から300 m程度の歩行で左下肢痛がみられたため当院外来を受診された.8月下旬,左下腿安静時痛が出現したため入院,加療となった.超音波検査にて左右総腸骨動脈に狭窄病変を有する,閉塞性動脈硬化症と診断された.血液生化学検査は血清Cre 2.8 mg/dl,24時間クレアチン・クリアランスは24.6 ml/分と低値を示した.慢性腎不全を呈しており,われわれは炭酸ガスを用いての血管内治療を選択した.動脈病変の画像診断,治療において,腎不全やアレルギー患者ではヨード造影剤の使用は限定される.それに対応して,慢性腎不全患者に対する医療用炭酸ガス造影による血管内治療が近年報告されるようになってきた.ヨード造影剤使用に制限のある症例に対して,炭酸ガス造影,IVUSを用いることにより,下腿動脈においても血管内治療により良好な結果を得た1例を経験した.
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