2012 年 21 巻 5 号 p. 691-694
要 旨:症例は30歳男性.既往にBuerger病(TAO),気管支喘息,喫煙歴がある.足趾潰瘍・手指の安静時疼痛および好酸球増多を認め,腰部交感神経切除術,胸部交感神経焼灼術を施行した後,保存的治療(内服・点滴加療)を施行し,疼痛は軽快したが潰瘍は治癒しなかった.経過中,右肺野腫瘤像,左右巨大冠動脈瘤を認めた.下腿に色素沈着を伴う丘疹の病理組織学的所見からアレルギー性肉芽腫性血管炎と診断した.ステロイド,メトトレキサートによる治療が行われ,丘疹は痂疲化し改善し好酸球数は正常値となったが,足趾潰瘍病変は増悪し左下腿切断術が施行され足部病理組織学的の好酸球浸潤を認めなかった.好酸球増多を認めたTAOでは,その診断には閉塞血管や皮膚病変部の病理学的組織診の重要性が示唆された.また,好酸球増多を併発したTAOに類似した症状を呈する場合にはTAOの確定診断は慎重に行うことが望ましい.