日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
ハイリスク患者を含めて腹部大動脈ステントグラフト留置術を研修医は安全に手術できるか?
森下 清文馬場 俊雄大堀 俊介氏平 功祐佐賀 俊文新開 翔太黒田 陽介上原 麻由子柳清 洋佑馬渡 徹
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2012 年 21 巻 6 号 p. 721-724

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抄録
要  旨:【目的】腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術(EVAR)は適応拡大の時期に入った.これら解剖学的非適応例も含め研修医教育を行っているが,一方で研修医の執刀は治療成績を落とすのではないかという懸念が残る.われわれの研修医教育方針の妥当性を検証した.【方法】過去16カ月に当科で施行したEVAR 66例を対象とした.これを指導医(EVAR 100例以上経験)執刀例(AS群,33例)と研修医執刀例(RS群,33例)に分け治療成績を比較した.解剖学的非適応症例はAS群14例,RS群15例であった.術中に追加した手技はAS群19例(coiling 6例,腸骨動脈の血管内治療7例,バイパス術3例,Palmaz XL 3例),RS群20例(coiling 9例,腸骨動脈の血管内治療7例,バイパス術3例,Palmaz XL 1例)であった.【結果】両群とも病院死亡はなかった.手術時間(AS群151±45分:RS群127±32分),術中出血(AS群339±219 ml:RS群232±151 ml)とも両群間で有意差を認めなかった.手術合併症はAS群6例(腸骨動脈損傷5例,腎部分梗塞1例),RS群3例(リンパ漏2例,創離解1例)であった.エンドリークはAS群11例(type I 7例,type II 4例),RS群4例(type I 2例,type II 2例)に認めたが(p<0.05),1カ月後はAS群3例,RS群2例であった.初期の臨床的成功率はAS群で91%,RS群97%であった.再手術はAS群,RS群とも1例ずつであった.【結論】解剖学的非適応症例が含まれても適切な教育を行えば,研修医はEVARを良好な早期成績で執刀できる.
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