日本血管外科学会雑誌
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症例
孤立性腹部内臓動脈解離症例の検討~本邦165既報告例を含めて~
鈴木 敬麿幕内 晴朗小林 俊也近田 正英北中 陽介村上 浩大野 真永田 徳一郎遠藤 仁小川 普久
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2012 年 21 巻 7 号 p. 773-780

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抄録
要  旨:孤立性腹部内臓動脈解離は比較的稀な疾患であり,その原因や自然歴,性差,予後などは今もって不明である.自験例7例を含む本邦からの孤立性腹部内臓動脈解離の報告172例について,その特徴,解離部位や解離長,症状,診断方法,治療法,そして予後について集計し検討した.連続自験例7例を含む本邦172例の平均年齢は55.0歳(31~89歳)であった.そのうち157例(91.3%)が男性で,女性は15例(8.7%)のみであった.急性発症の場合は何らかの腹痛を訴えた症例が128例(94.8%)に及んだ.慢性期診断例の68.8%は無症状であった.上腸間膜動脈解離と腹腔動脈解離も含めた解離の起点は,大動脈からの分岐部から平均1.8 cmで,3 cm以内で解離が起始している症例が94.6%を占めた.解離長の平均は5.3 cmであった.治療法は74.4%の患者が保存的治療を施行され,侵襲的治療を施行されたのは25.6%に過ぎなかった.死亡報告は3例あった.抗血栓薬を投与された群と非投与群とでは,偽腔の画像所見的な結果に有意な差を認めなかった.腹腔内臓動脈解離を連続7例経験し,1例を除き保存的治療で良好な経過を得た.孤立性腹腔内臓動脈解離は概して予後良好であったが,腸管虚血の所見を見逃さないことが重要である.抗血栓療法は,偽腔の血栓化に有意な影響を及ぼさないようである.
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