抄録
要 旨:症例は66歳,男性.慢性 B型大動脈解離を合併した弓部大動脈瘤(64 mm)の合併に対し,エレファントトランク法を用いた弓部大動脈全置換術を施行した.1年後,近位下行大動脈の偽腔拡大を認めたためEntry閉鎖目的にTEVARを施行した.末梢側の内膜をMatsui-Kitamura(MK)ステントグラフトにて保護したうえ,エレファントトランクからMKステントグラフトにかけてGORE TAGを内挿した.術後,胸部の偽腔血流は遮断され,エンドリークは認めなかった.Open SurgeryとTEVARのハイブリッド治療は,複雑な多発大動脈病変に対し非常に有効な治療法と考えられた.