日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
膀胱内BCG注入療法後の結核性腹部大動脈瘤の1例
織井 恒安本田 二郎平井 雄喜
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2012 年 21 巻 7 号 p. 803-808

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抄録

要  旨:膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法後に結核性動脈瘤を来した稀な症例を経験したので報告する.症例は69歳男性.1年前に膀胱癌に対して経尿道的膀胱腫瘍切除術施行.術後6カ月にわたりBCG膀胱内注入療法を受け,その後は無再発で経過していた.5カ月前頃より腰痛を自覚し,2カ月前から間歇的に38°C台の発熱を認めるようになった.CTにて腹部大動脈に仮性瘤と瘤壁の肥厚を伴った炎症像を認め,既往歴と臨床経過から結核性大動脈瘤切迫破裂を疑い緊急手術施行となった.手術は腎動脈下腹部大動脈を人工血管にて解剖学的再建術を行い,人工血管は大網で被覆した.術後経過は良好にて第13病日に軽快退院となった.摘出された大動脈壁の病理検査において,抗酸菌は検出されなかったが,粥状硬化の中に乾酪壊死を伴った肉芽腫を認め結核性動脈瘤と診断した.BCG療法後の結核性動脈瘤の合併は極めて稀であり,文献的考察を加え報告する.

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