2012 年 21 巻 7 号 p. 817-819
要 旨:中心静脈ポートは留置が長期間に及ぶため,感染を来したり上大静脈(SVC)周辺に血栓を形成することは稀ではない.今回カテーテル感染と右腕頭静脈内に血栓を生じた症例に対して,手術の際にSVCを単純遮断してカテーテル抜去と血栓摘除を行ったので報告する.症例は76歳,男性.大腸癌のため結腸右半切除術が施行され,その後右鎖骨下静脈から中心静脈ポートを留置して化学療法を1年間かけて施行された.経過観察のCTで,右腕頭静脈からSVCにかかる血栓を指摘され当科へ紹介となった.感染も来しており,保存的加療を行ったがまったく軽快せず,胸骨正中切開のうえ,SVCを単純遮断して血栓を摘除した.術後経過は良好であった.SVC単純遮断は短時間であれば問題ないと思われるが,あらかじめ血圧低下や脳浮腫に対応できる手立てを講じておくことも重要であろう.