日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
動注カテーテル感染を契機に発症したMRSA感染性腹腔動脈瘤に対しTEVARを施行した1例
萩原 敬之伊藤 寿朗小柳 哲也川原田 修義栗本 義彦樋上 哲哉
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2013 年 22 巻 5 号 p. 805-808

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抄録
要  旨:感染性腹腔動脈瘤は非常に稀な疾患である.今回動注カテーテル感染を契機に発症した感染性腹腔動脈瘤に対しTEVARを施行し,良好な治療成績を得た1例を経験したので報告する.症例は56歳男性.重症急性膵炎の治療中,動注カテーテルのMRSA感染から感染性腹腔動脈瘤を発症し,徐々に瘤径の拡大を認めたために手術の方針となった.手術は膵炎の既往のために,従来の人工血管置換術は困難と判断し,ステントグラフト治療を選択した.その際上腸間膜動脈が犠牲になるため,一期的にバイパス術を施行する方針とした.手術は腹部正中切開にて右総腸骨動脈と上腸間膜動脈を露出し,大伏在静脈によりバイパス術を施行した後,腹腔動脈,上腸間膜動脈の根部をいずれも被覆するようにステントグラフトを留置した.術後感染の再燃もなく手術後50日目に自宅退院となった.現在も感染の再燃なく経過している.
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