日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
殿部痛と間歇性跛行を伴う遺残坐骨動脈瘤に対しハイブリッド治療を施行した1 例
奥田 紘子岩崎 弘登藤本 浩平生田 剛士藤井 弘史清水 幸宏
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2013 年 22 巻 7 号 p. 989-992

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抄録

要旨:遺残坐骨動脈は胎生初期において下肢の主要な栄養血管である坐骨動脈が生後も残存し,動脈瘤化や下肢虚血などを引き起こす稀な疾患である.その治療法としてこれまでは瘤切除術や瘤空置術を行い,必要ならば下肢血行再建術を追加する外科的療法が一般的であった.しかし血管内治療の発達により,コイルを用いたtranscatheter arterial embolization(TAE)による治療例が報告されてきている.今回われわれは肥満患者における,有症状の完全型遺残坐骨動脈瘤に対し,下肢血行再建術とTAE を併用したハイブリッド治療を施行した.合併症なく瘤の完全閉塞に成功し,かつ下肢血流は良好となった.現在術後2 年経つが,コイルのmigration やバイパス閉塞は認められず経過良好である.リスクのある患者の遺残坐骨動脈瘤に対する治療法として,安全かつ低侵襲であるTAE の併用が有用であると考えられた.

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