2013 年 22 巻 7 号 p. 973-975
要 旨:症例は80歳男性,バイク事故にて受傷.右肩から頸部にかけて増悪する腫脹あり,右上腕動脈の拍動は消失.CTにて右鎖骨下に広範囲血腫形成と右鎖骨下動脈よりの造影剤漏出を認め,外傷性右鎖骨下動脈損傷の診断で当科搬送.来院時全身状態は安定,橈骨動脈・上腕動脈とも拍動は触知せず.緊急修復術の方針となり,整形外科と合同で手術開始.まず出血コントロールのため胸骨正中切開より腕頭動脈・右鎖骨下動脈をテーピング.右鎖骨下から右腋窩動脈もテーピング.その後整形外科にて鎖骨直上より骨折骨片を除去しながら損傷部位を展開.鎖骨下動脈はほぼ完全に断裂していた.椎骨動脈を介した出血があり,断裂部を明らかにしたところでその近傍で血管遮断し直し無血視野を確保.断裂部をトリミング後,直接吻合を行い修復.鎖骨骨折部を整形外科で修復,手術終了とした.経過は良好で,CTで鎖骨下動脈修復部の開存と末梢の良好な造影を認めた.