日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
多発性囊胞腎に合併したStanford A 型大動脈解離の1 手術例
坂口 昌幸後藤 博久中原 孝福家 愛西村 和典
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2014 年 23 巻 1 号 p. 75-78

詳細
抄録
要旨:症例は多発性囊胞腎(PKD),高血圧,慢性腎不全の既往がある53 歳女性.自宅で倒れているところを家人に発見され,急性大動脈解離Stanford A 型+心タンポナーデと診断され当院に搬送された.来院時の全身状態が不良であったため,急性期手術での救命は困難と判断し内科的治療を行ったところ徐々に全身状態が改善したため,慢性期での手術方針とした.大動脈解離発症3 カ月後に上行弓部大動脈全置換術(末梢側はエレファントトランク作製)を施行した.術直後無尿となり透析を必要としたが,その後腎機能は回復し透析から離脱,独歩退院した.近年PKD に大動脈解離を合併した報告が散見されるようになったが,重篤な合併症であり,病態を考慮した治療戦略が必要と考えられた.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top