抄録
要旨:閉塞性動脈硬化症のカテーテル治療後の止血に使用された止血デバイス(Angioseal®)のために,総大腿動脈の狭窄を来し,下肢虚血症状を来した症例を経験したので報告する.症例は76 歳,男性.経皮的血管形成術後に急速に悪化した間欠性跛行のために当科を受診し,精査の結果,大腿動脈穿刺部の止血デバイス留置部に一致した狭窄の進行を認めた.止血デバイスの血管内のアンカーが原因と考え,手術を施行した.血管背面に著明な偏心性の硬化病変を認め,内腔がアンカーに起因すると思われる物質で狭窄していた.血栓内膜摘除・パッチ形成を行い,虚血症状は改善した.