日本血管外科学会雑誌
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症例
弓状靱帯による腹腔動脈起始部狭窄に起因した膵十二指腸動脈瘤に対してハイブリッド治療を行った1 例
長尾 俊彦北川 敦士
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2014 年 23 巻 3 号 p. 733-737

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抄録

要旨:症例は63 歳女性.腹痛を主訴に近医を受診し消化管出血による貧血と診断されて紹介入院となった.上部消化管内視鏡検査では異常を認めなかったが,上腹部単純CT 検査で膵頭部近傍の液体貯溜と消化管の圧迫を認めた.造影CT 検査では,血腫近傍に不整に拡張した膵十二指腸動脈アーケイド(PDA)を認め,さらに腹腔動脈起始部狭窄を認めたことから,腹腔動脈起始部圧迫症候群(CACS)と診断した.再出血防止のため血腫近傍の前下膵十二指腸動脈をコイル塞栓し,膵十二指腸動脈瘤の拡大や側副路の拡張を予防するために,後日開腹下に腹腔動脈起始部の正中弓状靭帯の切離を行い,狭窄を解除した.術後の確認造影で残存膵十二指腸動脈瘤の縮小がみられずコイル塞栓を追加した.術後1 年の造影CT 検査では腹腔動脈の再狭窄や瘤の発生はみられていない.CACS に対してハイブリッド治療を行い低侵襲に良好な治療結果を得たので報告した.

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