日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
原著
ハイブリッド弓部大動脈ステントグラフト留置術―Total debranching vs partial debranching の比較―
森下 清文佐賀 俊文楢山 耕平柴田 豪氏平 功祐馬場 俊雄馬渡 徹
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2014 年 23 巻 3 号 p. 695-699

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抄録
要旨:【目的】弓部大動脈瘤のハイブリッド治療としてtotal debranching とpartial debranching を施行してきた.自験例を基に両術式の特徴を明らかにする.【方法】2008 年5 月から2013 年4 月末までに施行した弓部大動脈瘤ハイブリッド治療77 例を対象とした.このうちtotal debranching を24 例(T 群), partial debranching を53 例(P 群)に行った.T 群の9 例(38%)とP 群の13 例(25%)は二期的に胸部ステントグラフト留置術(TEVAR)を施行した.中枢ネックの長さはT 群で39±17 mm,P 群で29±9 mm と有意差を認めた(p<0.05).【結果】早期死亡をT 群1 例(4%),P 群1 例(2%)に認めた.術後呼吸不全の発症はT 群6 例(25%),P 群2 例(4%)と有意差を認めた(p<0.01).二期的手術例を除いたT 群とP 群の入院期間はそれぞれ33±29 日と16±10 日で有意差を認めた(p<0.001).術直後のエンドリークはT 群が3 例(13%)でP 群が18例(34%)であった.P 群の3 例は再TEVAR を行ったがT 群で再手術症例はなかった.2 年生存率はT 群が69±10 %,P 群が84±6 % で,event-free 生存率はT 群が2 年生存率59±11 %,P 群が73±8%であった.【結論】Total debranching は中枢neck の長さを十分にとれるためエンドリーク予防の点ではpartial debranching より有利であったが,手術侵襲の点でpartial debranching より劣った.
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