日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
腹部大動脈瘤破裂に対するEVAR 術後の破裂孔仮性動脈瘤切迫破裂の1 例
黒田 陽介伊藤 寿朗安田 尚美小柳 哲也樋上 哲哉
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2014 年 23 巻 5 号 p. 865-868

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抄録

要旨:近年,腹部動脈瘤破裂症例にもステントグラフト治療(EVAR)が応用され,開腹による人工血管置換術よりも死亡率が低く有用であるという報告もされつつある.当院でも,症例により動脈瘤破裂に対して緊急EVAR を施行しているが,今回,術後遠隔期に仮性動脈瘤切迫破裂をきたした1 例を経験したので報告する.症例は86 歳男性,腹部大動脈瘤破裂に対し緊急EVAR を施行し,フォローのCT で明らかなendoleak は認めなかった.術後1 年9 カ月目に腰痛を主訴に緊急搬送となり,CT 上,仮性動脈瘤の急速な拡大を認め,切迫破裂の診断にて緊急手術となった.手術は開腹にて動脈瘤を切開し,右第4 腰動脈からの出血を認めたために,瘤外側より動脈を結紮した.動脈瘤破裂症例に対するEVAR 治療は,破裂部位は血管の外膜が破綻されているため容易に仮性動脈瘤を形成する可能性があり,慎重な経過観察が必要であると考えられた.

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