要旨:【目的】静脈グラフトによる末梢バイパスは信頼性が高く,長期成績を考慮すると確実な血行再建法と考えられる.そこで当科における重症虚血肢に対する静脈グラフト末梢バイパスの治療成績について検討した.【方法】2005 年12 月より2013 年9 月までに施行した重症虚血肢に対する静脈グラフト末梢バイパス例39 例42 肢を対象とした.大伏在静脈単独で使用したsingle vein graft が23 肢(55%)で,spliced vein graft として使用したものが19 肢(45%)であった.【結果】静脈グラフト全体の累積開存率は4年で一次65%,二次90%であった.累積救肢率は4 年92%,術後生存率は4 年72%であった.大伏在静脈単独で使用できたsingle vein graft とspliced vein graft に分けて計算すると,single vein graft の一次累積開存率は4 年で86%であるのに対し,spliced vein graft では37%と不良であったが,二次累積開存率は,single vein graft 91%,spliced vein graft 89%と差はなくなった.【結論】静脈グラフトによる末梢バイパスを施行した重症虚血肢の生存率,救肢率は良好であった.spliced vein graft としても,厳重なfollow up を行い,適切なrevision を追加すればsingle vein graft と遜色のない成績が期待できる.
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