日本血管外科学会雑誌
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症例
孤立性外腸骨動脈瘤破裂の1 例
川崎 正和石橋 義光森本 清貴國重 英之井上 望
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2014 年 23 巻 5 号 p. 855-859

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抄録
要旨:孤立性外腸骨動脈真性瘤破裂は極めて稀な疾患で,過去に症例報告はほとんど見受けられない.今回この極めて稀な疾患に対して手術を施行し救命し得た症例を経験したので報告する.症例は53歳男性.突然左鼠径部から大腿部の激痛,しびれ感が出現し,当院救急外来へ搬送される.CT にて最大短径70 mm 大の左外腸骨動脈瘤破裂を認め,緊急で瘤切除および人工血管置換術を施行した.術後腸管運動の回復に時間を要したが,術後9 病日目に食事摂取開始.その後の経過は順調で,術後16 病日目に自宅退院となった.動脈瘤壁の病理組織学的所見でエラスチカ・マッソン染色法にて弾性線維の欠損を認めた.本症は家族歴・臨床検査所見・身体所見および病理組織学的所見から判断して,粥状動脈硬化症によるものと診断した.術後約2 年目に急性グラフト閉塞に対して緊急で血栓摘出術を施行したが,術後3年目のCT においてグラフトは開存し,吻合部も問題なかった
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