日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
症例
右胸腔内に大きく蛇行した胸部下行大動脈瘤および右総,内腸骨動脈瘤に対し二期的にステントグラフトによる血管内治療を行った1 例
川崎 正和石橋 義光森本 清貴國重 英之井上 望
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2014 年 23 巻 5 号 p. 850-854

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抄録
要旨:症例は慢性腎不全にて血液透析施行中の81 歳男性で,肺炎にて当院内科紹介入院.CT にて右胸腔内に大きく蛇行する胸部下行大動脈瘤,両側総・内腸骨動脈瘤(左側は血栓閉塞)を認めた.肺炎改善後にY-graft をIMA 分岐部末梢側の腹部大動脈に吻合し,脚からのアクセスにて胸部下行大動脈瘤に対しステントグラフト内挿術施行.なおY-graft 右脚は右外腸骨動脈,左脚は左大腿動脈に吻合して右内腸骨動脈への血流を温存した.約2 カ月後に右大腿動脈からのアクセスにて右内腸骨動脈へのコイル塞栓術を施行後,Y-graft 右脚から右外腸骨動脈にかけてステントグラフトを留置し,右総・内腸骨動脈瘤への血流を遮断した.術後対麻痺,腸管虚血を併発することなく,CT 上endoleak およびmigration を認めなかった.胸部,腹部重複動脈瘤症例においては術後対麻痺,腸管虚血を予防するための治療戦略を立てることが重要である.
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