日本血管外科学会雑誌
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Print ISSN : 0918-6778
症例
膝関節との間の瘻孔形成が原因と考えられた膝窩動脈外膜囊腫の1 例
佐藤 博紀曽我部 長徳橋本 好平山本 澄治井野川 英利白川 和豊
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2014 年 23 巻 5 号 p. 841-844

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抄録
要旨:膝窩動脈外膜囊腫は膝窩動脈の外膜内に発生した囊腫により動脈内腔が狭窄を来し,下肢虚血症状を引き起こす稀な疾患である.今回われわれは膝関節と囊腫の間の瘻孔形成が原因と考えられた膝窩動脈外膜囊腫の1 例を経験したので報告する.症例は71 歳,男性.左下肢の間歇性跛行を主訴に当院を受診した.左下肢のankle brachial pressure index は0.53 と低下しており,MRA では左膝上部の膝窩動脈は高度に狭窄していた.動脈硬化などによる狭窄を疑い,バルーン拡張術を行ったが,早期に症状の再燃と再狭窄を来した.造影CT で狭窄部周囲に囊胞形成を疑う所見を認めたことから膝窩動脈外膜囊腫を疑い手術を施行した.術中に囊腫と膝関節の間の瘻孔形成を認めたため,瘻孔の結紮切離,囊腫部を含めた膝窩動脈の切除および大伏在静脈による血行再建術を行った.外膜囊腫の原因が明らかでない現段階では,再発を防ぐため,関節との瘻孔形成に注意する必要があると思われた.
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